9月16日、17日の2日間にわたって、星つむぎの村が主催する「宙を語るワークショップ」を
行いました。主に、プラネタリウムにおいて「宙語り」をしている、また、してみたいと
思う人たちに向けた、伝わる語りを磨くための研修会です。
星つむぎの村の村人、また、全国のプラネタリウム解説に関わる方々に呼びかけ、
今回は23名の参加者とともに、充実した2日間を過ごしました。
場所は、1日目は清里の森で、宿泊と2日目は八ヶ岳グレイスホテルで、どちらとも
日頃お世話になっている場所で、快適な場を提供してくださいました。

「言葉を磨く」ための講師として、詩人・音楽家の覚和歌子さん(星つむぎの村の顧問も
やっていただいています)に登場していただきました。

これに先立ち、「これまで星をみた体験の中でもっとも印象に残っていることを、詩に表現
してください」という宿題が。一人ひとりに、丁寧なコメントが入れられ、レクチャーののち、
参加者のうち4人の作品について、それをどのように変容させていくと洗練されていくのかを「実演」。
言葉を選んでいく作業は、つまるところ、自分の意識の奥深いところにおりてそれを取り出して
くるプロセスだというのが、覚さんの哲学。
最終的には、一人ひとりが、自分を見つめなおす作業をしながら、原詩をバージョンアップし、
みなの前で発表すると、最初に読んだときとは、見違えるほどの輝きをもったものになって
いました。
そして、夕方から、覚さんのリーディングライブを、7mドームの中で行いました。
覚さんの体を通してこそ、さらに立ち上がる覚さんの言葉たち。
行間にこそ、伝えるものがある。 これは、宙を語るときにも、共通したものが
あります。

清里の森から10分ほどのグレイスホテルへ。グレイスホテルの食事は、大変豪華!
ホテル自前のおいしいお野菜たちがたっぷりな食事をいただいたところで、あらためて
自己紹介を。みなが、何を期待してここにきたかが語られました。
ほんとうは、天の川も見える星空をみんなで楽しむはずでしたが・・残念ながら、
今回は完全曇天。
21時過ぎから、高橋のプラネタリウム投影。グレイスホテルには、快適なソファがずらりと
ならぶ「プラネタリウム」の部屋があるのです。音楽の重要性や、「間」のこと、
相手を聞くということについても、意識を向けました。
その後は、自由な語り合いが、夜中すぎまで続きました。

翌朝も目移りするばかりのバイキングをいただき、2日目のワークへ。
事前に参加者のみなさんに出していた宿題は、もう一つあって、それは、
「あなたにとっての宙語りは、誰のため、何のため?」というものでした。
そのミッションがなかったら、何をどのように伝えるか、ということも表に出てきません。
それをシェアし、今日のワークの方向性を自分で決めました。
前日の深く降りていく作業をさらに進め、それを実際に語る言葉にしていくか、
あるいは、似たようなミッションや想いを持った人を共同作業で、語りをつくるか。
これもまた多様な形で、一人で語る人3人、ほかはグループ。
キャンディーズのようなグループになるところもあれば、互いに同じミッションを
持ちつつも、それぞれの立場の違いを生かしたそれぞれの語りをするグループも。

全員が、プラネタリウムでそれぞれの伝えたいことにあったシーンの下で、
語りました。
印象的だったのは、自分自身がどう宇宙と向き合っていったらよいのか、という
悩みを抱えた若い人たちが、揺れる心を変光星に投影し、星を見上げることで、
生きていることの実感を語ったもの。
このような作業を通じて、あらたな星座がうみだされたような空気に包まれました。

そしてお昼ご飯を食べながらの振り返り。
「言葉に向き合うことは、自分に向き合うこと、と学んだ」「新しい気づきが多々あった」
「具体的に目標ができた」「これ、もっとプラネタリウムをやる人たちに参加してほしい」
「覚さんは宇宙人だと思う(笑)」など、全員が「きてよかった~!」という気持ちに
なって、またぜひ、と言ってくれたのが、主催者としては、嬉しい限りです。

星つむぎの村では、それまでプラネタリウムの仕事に関わったことがない人が
すでに4人、語りのデビューをしています。そして、自ら語らずとも、
星つむぎの村のプラネタリウムを呼ぶ企画が、あちこちで実践されています。
ひとつひとつの企画、一人ひとりが、成長し、多くの人たちが、宙を拠り所に
生きる社会になっていくことを夢見ます。

自ら持てるものを出し切ってくださる覚さん、
参加してくださったみなさん、ありがとうございます!
清里の森、グレイスホテルのみなさんも、ぜひまた次も!と思います。