2月3~5日、日本プラネタリウム協議会(JPA)の全国研修会が、高松市子ども未来館で開催され、高橋が参加。2日目の2時間の分科会「すべての子どもたちとつくるプラネタリウムの幸福感」の講師と、3日目の模擬投影をさせていただきました。いろんな企画がされていましたが、手前の話のみレポートさせてもらいます。

全国のプラネタリウム職員100名ほどが集まる会、JPAへの参加そのものがすでに6年ぶり。懐かしい顔、新しい顔にお会いできること、大変楽しく嬉しく参加させてもらいました。

今回2時間の講座を構成するのに、結構あれこれ考えました。自分がやっている投影がなんなのかというのを考えるのに、とてもよい時間を与えてもらったように思います。それぞれの施設や職員が、「誰のため? 何のため?」にプラネタリウムをやるのかということを常に考えることはとても大事なことだと、科学館時代からずっと思って実践してきたことなのですが、一方でそういったことがJPAのような場で議論されたり、共有されたりすることが少ないなあ、といつも思ってきました。施設のミッションはそれぞれだから・・ではあるのですが、でも、プラネタリウムという特殊な場の社会的な価値や意味は、ほんとは業界として真剣に考えるべき課題だろう、と。

そんなことで、技術論よりも哲学・・でも、それだけでなくてすぐに役に立ちそうなことも、実践も・・と思うと2時間はあまりにも短く。事前にアンケートをとり、それぞれが「誰のため、何のため」と考えているのか、講座に期待していること、聞きたいこと・・それを40名弱からもらうだけでも、こちらから伝えたいこと、じっくり取り組みたいことは山ほどありました。

一方、「すべての子どもたちとつくるプラネタリウムの幸福感」というタイトルは、十分に内容を考える前につけたタイトルでしたが、「幸福感」という言葉をヒントに、自身がやっているプラネタリウムはいったい何であるか、ということが自分でやっと言語化できたように思いました。アドラーの幸福論に頼れば、個人や人類の幸福とは、「自己肯定感」「共同体感覚」「社会への貢献」。加えて、「宇宙内存在という意識」も私は加えたい。

この4つについて、プラネタリウムは「一人ひとりが星に向き合う感覚」、そして、「星の下で共に生きるという感覚」、さらに、「その場に参加する」こと、「広大な宇宙の中にすべてがつながって生きているという感覚」を生み出す場として実現できるはず、なのです。

そのために、みんなが共通していること、また協力しあいながらできること、一緒に声を出したりできること、などを意識しつつ、一人ひとりの声をひろう、聞く・・・ということを実践できるようにしよう、ということを講座に取り入れました。

時間がタイトだったので、場当たり的・・ではありましたが、それぞれがすでに実践していることも持ち出し、それをみんなに披露してもらう、という時間にもなったのではなかろうか、と。

そして、最終日の模擬投影を見ていただいて、講座とあわせて参加してくださった方からは特に、「全部が腑に落ちて、感動しました」という声もいただきました。また、「誰のため、何のため」、を組織でもっと考えるようにするためにどうしたらいいか、という真剣な質問もありました。

模擬投影をするにあたっては、高松の館の方やコニカミノルタの技術の方にもだいぶご尽力をいただきました。そのことも含め、開催にあたって大変なご準備をされてきたみなみなさまに、心より感謝いたします。ありがとうございました。