5月14、15日に、福島県南相馬市、宮城県名取市閖上にお邪魔しました。2015年以降、ご支援いただいているパルシステム東京さんの助成金のおかげです。今回は村メンバー11名です。大学生3名による感想レポートです。

1日目(早朝4時、甲府出発。東京組をピックアップののちに、南相馬到着)

一日目。あいにくのお天気の中たどりついたのは福島県南相馬市にある、「浮船(うきふね)の里」。女性3人で立ち上げたというNPO法人です。代表の久米さんから、ご自身のことや浮船の里についてのお話をお聞きしました。

2011年3月12日の福島第一原発事故。その時まで久米さんは原発が近くにあることを意識していなかったそうです。はじめは何が起きているのか分からないままにとにかく逃げ続け、日が経つにつれて今度は多すぎる不確かな情報に翻弄される日々。そして何かに取りつかれたかのように、放射線量を気にする生活に。賠償金の問題も重なり、ストレスで病気になってしまったそうです。

そんな状態だった久米さんですが、娘さん家族と離れるという選択をして、小高に戻って来られました。現在は小高の繭で紡いだ糸を小高の自然植物で染め、形ある小高のブランドを世に送り出すという活動を進めています。ブランド名は神様が見守る場所という意味の「みもろ」と音「ね」を組み合わせた”mimorone”。

見せてくださった糸はつやがあり美しく、その糸を球に巻き付けて作られたピアス、髪留めはとてもきれいでした。また浮船の里では「芋こうじ会」という会を月に1回開催し、仮設住宅に住む皆さんが集まれる場所も提供しています。

久米さんは大切なのは心の復興だとおっしゃっていました。そしてそれは本人が自分の意思で進める一歩なのだと。

被災者の方の経験はひとりひとり違っていて、感じたことも乗り越え方も、望んでいるものもみんな違います。なにかをしてあげる訳ではなく、その人と関わり、会話し、受容することが大切なのだと思います。

日常があること、当たり前があることがいかに素晴らしいことか、こうして星つむぎの村で活動できることを含めて、自分がどれだけ人や環境に恵まれているかを改めて感じました。 (ここまで、倉知朝希)

 

お昼をラーメンがおいしく人気の「双葉食堂」でいただき、その後、南相馬市太田生涯学習センターへ。NPO法人南相馬サイエンスラボを主宰する齋藤さんと共同で、プラネタリウムと星空工作を行いました。小学生ぐらいの子どもを連れたご家族が多く、約50人の方々が来てくださいました。

プラネタリウムは、3回も観たという方がいる程、子ども達や大人にも、大変好評でした。60代ぐらいの女性は、「学生時代以来のプラネタリウムで、とても綺麗で観られて良かった。」と話してくださいました。


星空工作は、無料の地球ゴマ・星のストラップ・星座カードと、有料のフェイスペインティング・希望の星座カード を行いました。

今回私が印象に残った出来事を2つ紹介します。
一つ目は翌日が母の日のため、「希望の星座カード」にお母さんへのメッセージを書き、プレゼントすると話していた子どもたちの姿が多く見受けられたことです。
どんな文章を書いているのか様子を見ると、小学校低学年ぐらいの女の子は、「ほんとは私が(希望の星座カードを)ほしいけれど、母の日なので、お母さんにプレゼントします。いつもありがとう」というようなメッセージを書いていました。自分の気持ちを抑えて、お母さんに喜んでほしいと思い書いている姿に、心があたたかくなりました。

2つ目は、私が星座カードの担当をしていたときに来た、小学校3年生の男の子の話です。どんな言葉を書いたのかを見せてもらったら、「日本がんばろう」「かがやける
みんながしゅやくだ」とありました。内容について、あれこれ質問するのは良くないかと思い訊かなかったので、どのような心情で書いたかはわかりませんが、彼の言葉には様々なことを考えさせられました。


作品を作り終えると、子どもたちがしっかりお礼を言ってくれました。礼儀正しいなと感じましたし、喜んでくれた姿を見て、とても嬉しい気持ちになりました。

全体を振り返ると、和やかな雰囲気の中で活動ができたと思います。星空工作も満遍なく、どのコーナーにもお客さんがいて、作業を行いやすかったです。(ここまで、内藤さやか)

夜は、2016年の前回に引き続き、双葉旅館に泊めさせていただきました。

2日目は、宮城県名取市閖上へ。「閖上の記憶」は、津波でさらわれた町の記憶を残していきたい、と活動する方々の拠点です。

「閖上の記憶」では、震災のあった日の星空を見て頂いた後、星空の中で被災されたみなさんにお話を聞かせていただきました。追ってくる津波から必死に逃げた方、お子さんを亡くされた方、ご両親を亡くされた方。どの方のお話にも、受け止めがたい現実に向き合い続けてきたという重みがあり、心を動かされました。

後半は参加者のみなさんに日時と場所を指定していただき、オリジナルの「想い出の星空カード」をパソコンで作成しました。その間にそれに添える「手紙を書くワークショップ」を行いました。

皆さん震災の犠牲となった、愛する人への手紙を書かれていました。予想もしていなかった、愛する人との当たり前の日常が突然に無くなる現実があるのだと知り、胸が苦しくなるような思いがしました。私たちは「当たり前」に過ごしている日常を、当たり前にあるものだと思ってはいけない、感謝の気持ちをいつも忘れてはいけない、と強く感じました。

それぞれの方が、大切な想い出の日の宝物を手にされました。

私自身、過去に大きな地震をふるさとの新潟で経験したことがあります。屋根の瓦は落ち、道路は割れ、見渡す限り荒れ放題。しかし、見上げた星空はとても綺麗だったことを記憶しています。6年前の東日本大震災でも、そんな星空が少しでもみなさんの心の癒しになったのではないでしょうか。星が持つパワー、被災されたみなさんの6年間の歩みや強い想いを、今回のツアーで感じることができました。(ここまで、肥田野 咲)